秋田市内にある約64坪の土地は、北東角地ですが、前面道路は狭く、南に面した隣家も境界近くに建っていることから、採光とプライバシーの確保がむずかしい敷地条件でした。そこで南と西の２方向に壁とルーバーで囲った中間領域を１、２階に設けることで、都市型住宅でありながら豊かな光と風の抜ける空間を提案しています。生活の中心は２階へ上げ、LDK、畳室、水廻りを南側の中庭とルーフデッキに面して配し、１階には中庭に面して寝室と個室を２部屋、道路側に予備の個室と３台分の車庫を設けています。

２階リビングの将来的な不安については、１階のシュークロークと２階の書斎部分に、エレベーターの設置を想定し、電気配線と設置に必要な荷重の計算および構造梁の準備を施してあります。

リビングから続く屋根のある外部空間は、最近はアウトドアリビングと呼ばれることが多いですが、昔から日本人が大切にしてきた中間領域と呼ばれる場でもあります。旅館の窓際にある外の景色を眺めながらくつろぐスペースのことを「広縁（ひろえん）」と呼びますが、幅を広めに取った縁側に近い感覚と云えば親しみやすいでしょうか。クライアントはこの場をとても気に入っています。家の中の大切なウチソトをつなぐ場に、光が差し込んで耀く様を表わして、家の名前は、「耀縁（ひかりえん）の家」名付けました。